組込み用ウェブアプリケーションサーバー Barracuda Application Server 各種RTOSに対応。Webベースのアプリケーションサーバー開発SDK

Barracuda Application Server(以降BAS)は、IoTデバイス・組込み機器用に開発されたWebベースのアプリケーションサーバー開発SDKです。標準的なHTTP、HTML5、XML、JSONの技術を活用したウェブサーバー開発キット、WebDAVやWebSocketなどのコネクティビティツール、TLSセキュリティがパッケージにすべて含まれています。初期投資や運用コストの削減にも貢献します。

主な特長

  • 各RTOSに幅広く対応
    µITRON、FreeRTOS、VxWorks、QNX、INTEGRITY、ThreadX、embOS、RTXC、SMX、MQX、Linux、NetBSD、Windows & Windows CE
  • ソースコード提供(GPLフリー)
  • TLSセキュリティサポート(SharkSSL TLS サーバー、クライアント)
  • HTTP、HTTPSクライアントライブラリ同梱
  • Barracuda Embedded Web ServerによるWEBサービスを提供。CサーバーページとLuaスクリプトによるLuaサーバーページをサポート。Lua VMを同梱
  • MQTT Clientおよび軽量M2Mメッセージ通信SMQブローカを同梱
  • WebSocket Client/Serverライブラリ同梱
  • SOAP WEBサービスをサポート
  • Ajax、JSON、XML-RPCをサポート
  • SMTPメッセージ送信ライブラリをサポート
  • AES 256ビットの暗号化をサポートするZIP圧縮ファイルシステムをサポート
  • インダストリー標準のModbusのクライアントをサポート
  • WebDAVプラグインも提供

ターゲット製品 / 対応製品 / 互換性など

インターネット経由で遠隔からの制御・操作が必要な機器・用途に適しています。特に、IoTや組込み端末など、運用コストやメモリの制約がある機器向けのソリューションとして大きなメリットがあります。BASは標準的なプロトコル、セキュリティをサポートし、多くのクラウドサーバーとの相互運用が可能です。

組込み機器のIoT化は、特にコスト面でのメリットが大きく、データ収集の自動化や遠隔監視・制御などの実現により運用の省力化・コスト削減が可能となります。インターネット上のシステムと同様に、アプリケーションサーバー機能を利用することで、高速かつリアルタイム性が高く、付加価値の高いシステムが構築できます。

しかし、組込みシステムでは、インターネット上のクラウドやサーバーと異なり、個別にネットワーク機器への対応が必要であること、また、組込み機器の限られたリソース内で、高度なアプリケーションのような複雑な機能を構築することは、技術面、コスト面で大きな課題となっていました。さらに、センサーやIoT端末の拡大に伴い、今後も接続端末数やデータ量が爆発的に増加することが予想され、クラウド上の処理やネットワーク帯域の負荷低減が必要となっています。そのため、センサーやIoT端末の間に、「エッジ」や「フォグ」といわれる、いわゆる「IoTゲートウェイ」といった、AIやデータ処理などのインテリジェントな機能を搭載することが望まれています。

Real Time Logic社の「Barracuda Application Server」を利用することにより、機器に近いサイトでエッジコンピューティングを実行するフォグサーバを低コスト/短期間で構築することが可能です。

主な用途(アプリケーション例など)

産業機器、インフラ機器、ビル管理、医療機器のIoTハブ

機能紹介

インターネットワーク接続・セキュリティソリューション

  • Barracuda Embedded Web Server

小型の組込みWebサーバーCライブラリです。リモート監視および制御管理アプリケーションに対してMachine-to-Machine(M2M)通信と、リッチでセキュアな Human-to-Machine(H2M)インタフェースが作成可能です。C / C ++ Server Pages(CSP)とLuaスクリプティングによるLua Server Pagesが使用可能です。

  • WebSocket – HTTPベースのセキュアな非同期双方向通信の実現

クラウドネットワーク上のサーバーのファイアウォールをスルーしてIoTクラウドサーバーに接続するには、トンネリングプロトコルとしてセキュアなHTTPSを使うことが最初に考えられます。IoTデバイスとIoTクラウドサーバーとのM2M通信にHTTPをRESTfulに使う事例も増えています。

しかしHTTPプロトコルはサーバーからの非同期な双方向の通信には向かず、IoTデバイスのHTTPリクエストはIoTクラウドサーバーの負荷を増大させる懸念があります。

そこで注目されるのが、WebSocketプロトコル(RFC6455)です。HTTP上位プロトコルであるWebSocketプロトコルライブラリを使うことで、永続的なコネクションで双方向な非同期通信が可能となります。

HTTPとWebSocket の比較

HTTPWebSocket
コネクション一時的な接続永続的な接続
通信方式半二重 片方通信全二重 双方向通信
メッセージ方式リクエスト⇒レスポンスの形式な一方向のメッセージ交換相互非同期通信
サーバー非同期プッシュ未サポートサポート(中核機能)
オーバヘッド一時的な接続/切断の繰り返しによるサーバー/クライアントの負荷の増大最小オーバヘッド
  • WebDAV - セキュアなHTTPベースのリモートファイルサーバの実現

HTTPベースのリモートファイルシステムであるWebDAV(RFC 4918)により、IoTクラウドサーバーにセキュアな仮想ストレージを公開することが可能となります。

  • Ajax、JSON、XML-RPC、SOAP-RPCのサポート

IoTクラウドサーバーとの通信に通常使用される各技術に対応しています。XML、JSONパーサ/シリアライザライブラリをサポートし、その他のBASプロトコル機能とともに利用可能です。

  • 軽量、高速TLSサーバー/クライアント

SharkSSLは、最小、最速、最高性能の組込みTLSライブラリで、TLS v1.0 / 1.1 / 1.2 仕様に対応しています。また豊富なコンパイルオプションにより、フットプリントを20kB未満にまで調整可能です。業界標準の暗号スイート、完全なx.509認証がサポートされています。

  • PikeHTTP(S) クライアントライブラリ機能

HTTP認証、CA認証によるサーバー認証、クライアント証明書によるクライアント認証をサポートします。LuaコードからHTTPクライアントライブラリを呼び出すことも可能です。

  • ZIP圧縮/解凍ライブラリ

このライブラリにより、圧縮したファイルの送受信が可能です。標準であるAES 256ビット暗号化もサポートしています。

  • MQTTセキュアクライアント機能

MQTTはOASISによって仕様策定されたIoT用の標準プロトコルで、商用IoTサービスを利用するために必要です。BASのMQTTクライアントはMQTT v3.1.1に準拠したPub/Subのプロトコル機能を提供します。非セキュアMQTT通信・セキュアMQTT通信の両方をサポートしています。

セキュアなWebSocketコネクションをトンネリングしたMQTT over WebSocketとしても利用可能です。

  • SMTP簡易メール転送プロトコルライブラリ

SMTPクライアントを使用すると、組込みデバイスはデバイスの情報を任意のSMTPサーバーを経由して電子メール形式で送信できます。

対応している規格は以下の通りです。

・SMTP準拠(RFC 2821)
・SMTP認証準拠(RFC 4954)
・セキュアSMTP(SMTPS)準拠
・STARTTLS準拠(RFC 3207)
・認証局検証によるサーバー認証をサポート
・クライアント認証のためのクライアント証明書をサポート

システム/情報管理ソリューション

  • 軽量SQLデータベース機能

データベースプラグインは、オープンソースのSQLiteデータベースエンジン、もしくは商用のITTIA DB SQLのプラグインが利用可能です。ITTIA DB SQLは幅広いプラットフォームで利用されており、高パフォーマンスで最適化されたデータ管理機能を提供します。

  • Non SQLデータベース機能

SQLデータベースの代わりに、不揮発データの格納に利用します。JSONエンコーダとデコーダを使用してファイルや物理フラッシュメモリに記憶してデータ管理することが可能です。

コントロール・センサーネットワーク ソリューション

  • SMQ(Simple Message Queue)プロトコル

Real Time Logic社独自開発プロトコルのSMQは、あるエンドポイントから別のエンドポイントに、直接簡単にアドレス指定ができる点が特長です。

SMQアーキテクチャのエンドツーエンド・ソリューションにより、デバイスエッジ間のノード接続、1対1通信機能を瞬時に実現します。

  • Modbus TCPクライアントライブラリ

FAで広く使われているModbusプロトコルのTCPバインド版機能です。ModbusデバイスからIoTクラウドサービスへのブリッジングを行います。

技術サポート体制

専任の担当者による技術サポートを提供いたします。