介護食の製造工程にAIによる自動外観検査を導入、品質の担保と100万食以上の大量生産を両立―Neurala社事例

❝オリンピックで言えば、VIAの不具合検知は銅メダル、分類モデルは銀メダル、複数ROIモデルは金メダルに相当します。人間が時間をかけて食材の欠落を確認するよりも、はるかに高い精度の検査を実現してくれます。❞
- apetito社 オペレーションマネージャー Kevin McDonagh氏

課題

■ 14の生産ラインで毎週100万食以上の生産が必要
■ 各トレイが顧客の期待する品質に達しているか、また適切に包装されているか確認が必要

解決策

■ Neurala社の自動外観検査システム開発ソリューション「VIA」を導入
 ・ 製品が工場から出荷される前に食材の欠落、不良品を高い精度で検出
 ・ 生産するメニューの頻繁な変更に対応可能な短期間での学習モデル構築体制を実現

効果

■ 100%の精度で食材の欠落にフラグを立てられるモデルを開発
■ 10~20分の短時間で新規に構築してテストが開始できる学習モデルによって、生産ラインが容易に増設可能に
■ コスト削減と労働力不足を解決し、製品品質が向上
■ 欠落しやすい食材の兆候まで把握可能になり、新メニュー企画時の参考に

課題

欧州の大手食品メーカーapetito社は、主に介護を必要とする高齢者向けに、自宅や介護施設へさまざまな栄養的要求や食事制限を満たす健康的な食事を提供しています。顧客一人一人のニーズに合わせた適切な栄養素と量の食事を届けることは、顧客の健康を守るために重要ですが、同社にとって品質の担保と大量生産の両立は大きな課題でした。

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すべての食材をスピーディーに食卓へ

毎週100万人以上のユーザー向けに食事を提供しているapetito社は、食材の欠落に関するクレームに対応するため、まずはラインから出てくるトレイの重量を計測しました。しかし、食材Aが欠けていても食材Bが多めに入っている場合は重量を満たしてしまうため、重量の計測だけでは課題を解決できませんでした。
また、apetito社は生産性にも大きな課題を抱えていました。例えば、ある会社のデザートの蓋はきちんと圧着されているかどうか毎回確認しなくてはなりませんでしたが、これは時間とコストがかかる作業でした。ラインから出てくる製品のエラーを効率的に検出でき、コストを上げずに生産性を高めることのできるソリューションを探していました。

苦戦した初のAI導入

apetito社は、Rasberry Piベースのソリューションを開発し、一つの生産レーンをモニタリングすることから始めました。良品と不良品の画像からAIモデルを学習し、出力シグナルが不良品を検知してレーンから外す仕組みです。結果として、不良品検知に作業員を配置する必要がなくなり年間15,000ポンド(約 250万円/2022年7月現在)の人件費が削減できました。
しかし、このシステムには大きな欠点がありました。Rasberry Piベースのシステムは何百枚ものデータをUSBでアップロードしなければならず、さらにPCに転送後に3-4時間かけて学習をさせてから、またラインに戻す作業が必要でした。さらに、apetito社では多種多様な製品の在庫を確保するために、頻繁に生産するメニューを変更していましたが、このRasberry Piベースのシステムでは開発開始から長時間の学習を経て、実用できるまでに数週間を要しました。
学習モデルの構築に大量のデータと時間を要する同テクノロジーを、大規模に導入することは不可能と判断したapetito社は、膨大なデータと時間を要することなく同様の精度で不良品検知ができるAI技術を探すことにしました。

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VIAで簡単にAI導入成功―品質を保ちながら作業効率の向上とコストカットを実現

数社のAIベンダーを調査した後にapetito社はNeurala社にコンタクトしました。Neurala社の自動外観検査ソフトウェア「VIA」は、検査用アプリ「Inspector(インスペクター)」とモデル作成ツール「Brain Builder(ブレインビルダー)」という2つのソフトウェアプログラムで構成されており、apetito社の既存の生産システムで動作可能でした。
また、apetito社の社員は特にプログラミングの知識もありませんでしたが、VIAのUIは非常にわかりやすく、たったの10-20分で不具合検知の学習モデルを構築し、すぐにテストができました。テスト工程では、apetito社からのフィードバックをもとに Neurala社が実装を行いました。以前apetito社が使用していた重量測定による検査では、食材が欠けているトレイの特定はできても、何が欠けているかは判別できませんでした。一方、VIAの複数ROI(対象領域)検知を活用して画像データの中から操作の対象として選ぶ領域を特定すると、どの食材が欠けているのかがわかるだけでなく、欠落しやすい食材の兆候まで把握できるようになったため、将来的なメニュー構成に役立てることもできました。

apetito社のオペレーションマネージャーKevin McDonagh氏は次のように述べています。 「オリンピックで言えば、VIAの不具合検知は銅メダル、分類モデルは銀メダル、複数ROIモデルは金メダルに相当します。人間が時間をかけて食材の欠落を確認するよりも、はるかに高い精度の検査を実現してくれます。」「このAI構築の工程を通じて、同じような状況にある他の企業とも話をしましたが、食品業界で私たちのようにAIを活用している企業はまだありませんでした。Neurala社とapetito社は、共に新境地を開拓しているのです。」

Neurala社とapetito社は工場内に30の学習モデルを構築し、テスト工程の最後には最も頻繁に欠落する食材であったヨークシャープディングにおいても、欠陥品検知精度100%を達成することができました。VIAを使用した外観検査により、品質を落とすことなく、作業効率を大幅に上げコストカットを実現できました。

Neurala社について

Neurala社は、AI分野で四つのPhDを保有する三人の研究者が、長年にわたるAI研究の成果と数々の特許をもとに、2006年にNASAやDARPA(国防高等研究計画局)、米空軍研究所と行った共同研究から発足しました。Neurala社は画像認識AI技術のパイオニアです。AIを実社会でより広く有用に使えるアプリケーションにするというミッションのもと、Neurala社はその高い技術を用いて、製造業における品質検査プロセスの時間、さらに量産レベルの画像認識AIソリューションのメンテナンスにかかるコストを大幅に削減します。同社はDraper VenturesやCB Insights、Netexplo / UNESCOをはじめとする賞を多数受賞しています。
本社所在地 :米国 / URL : https://www.neurala.com/

VIA(ヴィア)

VIA(Vision Inspection Automation)ソリューションは、米国Neurala社が開発した、AI自動外観検査システム開発用のソフトウェアです。VIAを使用することで、お客様はAI人材を必要とせず、簡単に外観検査プロセスを自動化できます。この自動化によって、省人化の促進や製造フローのシームレス化による生産性向上だけでなく、品質と一貫性の改善が同時に実現可能です。二次元認識を用いた表面検査だけでなく、最大4台までのカメラに対応する立体認識にも対応しています。特許技術により、極僅かなデータのみでエッジデバイスで短時間での学習を実現します。

採用製品:
VIA(ヴィア)