介護食の製造工程に AI による自動外観検査を導入、品質の担保と 100 万食以上の大量生産を両立 - Neurala 社事例
❝オリンピックで言えば、VIA の不具合検知は銅メダル、分類モデルは銀メダル、複数 ROI モデルは金メダルに相当します。人間が時間をかけて食材の欠落を確認するよりも、はるかに高い精度の検査を実現してくれます。❞
- apetito社 オペレーションマネージャー Kevin McDonagh 氏
課題 | ■ 14 の生産ラインで毎週100万食以上の生産が必要 |
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解決策 | ■ Neurala 社の自動外観検査システム開発ソリューション「VIA」を導入 |
効果 | ■ 100%の精度で食材の欠落にフラグを立てられるモデルを開発 |
課題
欧州の大手食品メーカー apetito 社は、主に介護を必要とする高齢者向けに、自宅や介護施設へさまざまな栄養的要求や食事制限を満たす健康的な食事を提供しています。顧客一人一人のニーズに合わせた適切な栄養素と量の食事を届けることは、顧客の健康を守るために重要ですが、同社にとって品質の担保と大量生産の両立は大きな課題でした。
すべての食材をスピーディーに食卓へ
毎週 100 万人以上のユーザー向けに食事を提供している apetito 社は、食材の欠落に関するクレームに対応するため、まずはラインから出てくるトレイの重量を計測しました。しかし、食材 A が欠けていても食材 B が多めに入っている場合は重量を満たしてしまうため、重量の計測だけでは課題を解決できませんでした。
また、apetito 社は生産性にも大きな課題を抱えていました。例えば、ある会社のデザートの蓋はきちんと圧着されているかどうか毎回確認しなくてはなりませんでしたが、これは時間とコストがかかる作業でした。ラインから出てくる製品のエラーを効率的に検出でき、コストを上げずに生産性を高めることのできるソリューションを探していました。
苦戦した初の AI 導入
apetito 社は、Rasberry Pi ベースのソリューションを開発し、一つの生産レーンをモニタリングすることから始めました。良品と不良品の画像からAIモデルを学習し、出力シグナルが不良品を検知してレーンから外す仕組みです。結果として、不良品検知に作業員を配置する必要がなくなり年間15,000 ポンド(約 250万円/ 2022年7月現在)の人件費が削減できました。
しかし、このシステムには大きな欠点がありました。Rasberry Pi ベースのシステムは何百枚ものデータを USB でアップロードしなければならず、さらに PC に転送後に 3-4 時間かけて学習をさせてから、またラインに戻す作業が必要でした。さらに、apetito 社では多種多様な製品の在庫を確保するために、頻繁に生産するメニューを変更していましたが、この Rasberry Pi ベースのシステムでは開発開始から長時間の学習を経て、実用できるまでに数週間を要しました。
学習モデルの構築に大量のデータと時間を要する同テクノロジーを、大規模に導入することは不可能と判断した apetito 社は、膨大なデータと時間を要することなく同様の精度で不良品検知ができる AI 技術を探すことにしました。
VIA で簡単に AI 導入成功―品質を保ちながら作業効率の向上とコストカットを実現
数社のAIベンダーを調査した後に apetito 社は Neurala 社にコンタクトしました。Neurala 社の自動外観検査ソフトウェア「VIA」は、検査用アプリ「Inspector(インスペクター)」とモデル作成ツール「Brain Builder(ブレインビルダー)」という2つのソフトウェアプログラムで構成されており、apetito 社の既存の生産システムで動作可能でした。
また、apetito 社の社員は特にプログラミングの知識もありませんでしたが、VIA の UI は非常にわかりやすく、たったの 10-20 分で不具合検知の学習モデルを構築し、すぐにテストができました。テスト工程では、apetito 社からのフィードバックをもとに Neurala 社 が実装を行いました。以前 apetito 社が使用していた重量測定による検査では、食材が欠けているトレイの特定はできても、何が欠けているかは判別できませんでした。一方、VIA の複数 ROI(対象領域)検知を活用して画像データの中から操作の対象として選ぶ領域を特定すると、どの食材が欠けているのかがわかるだけでなく、欠落しやすい食材の兆候まで把握できるようになったため、将来的なメニュー構成に役立てることもできました。
apetito 社のオペレーションマネージャー Kevin McDonagh 氏は次のように述べています。 「オリンピックで言えば、VIA の不具合検知は銅メダル、分類モデルは銀メダル、複数 ROI モデルは金メダルに相当します。人間が時間をかけて食材の欠落を確認するよりも、はるかに高い精度の検査を実現してくれます。」「この AI 構築の工程を通じて、同じような状況にある他の企業とも話をしましたが、食品業界で私たちのように AI を活用している企業はまだありませんでした。Neurala 社と apetito 社は、共に新境地を開拓しているのです。」
Neurala 社と apetito 社は工場内に 30 の学習モデルを構築し、テスト工程の最後には最も頻繁に欠落する食材であったヨークシャープディングにおいても、欠陥品検知精度 100% を達成することができました。VIA を使用した外観検査により、品質を落とすことなく、作業効率を大幅に上げコストカットを実現できました。
Neurala 社について
Neurala 社は、AI 分野で四つの PhD を保有する三人の研究者が、長年にわたる AI 研究の成果と数々の特許をもとに、2006 年に NASA や DARPA(国防高等研究計画局)、米空軍研究所と行った共同研究から発足しました。Neurala 社は画像認識 AI 技術のパイオニアです。AI を実社会でより広く有用に使えるアプリケーションにするというミッションのもと、Neurala 社はその高い技術を用いて、製造業における品質検査プロセスの時間、さらに量産レベルの画像認識AIソリューションのメンテナンスにかかるコストを大幅に削減します。同社は Draper Ventures や CB Insights、Netexplo / UNESCO をはじめとする賞を多数受賞しています。
本社所在地 :米国 / URL : https://www.neurala.com/
VIA(ヴィア)
VIA(Vision Inspection Automation)ソリューションは、米国 Neurala 社が開発した、AI 自動外観検査システム開発用のソフトウェアです。VIA を使用することで、お客様は AI 人材を必要とせず、簡単に外観検査プロセスを自動化できます。この自動化によって、省人化の促進や製造フローのシームレス化による生産性向上だけでなく、品質と一貫性の改善が同時に実現可能です。二次元認識を用いた表面検査だけでなく、最大4 台までのカメラに対応する立体認識にも対応しています。特許技術により、極僅かなデータのみでエッジデバイスで短時間での学習を実現します。
- 日本代理店
株式会社ユビキタスAI
www.ubiquitous-ai.com
- 採用製品:
- VIA(ヴィア)