車載専用ノイズリダクション/エコーキャンセラー BdSound S2C-A 独自技術でクリアな車内コミュニケーションを実現

AEC(Acoustic Echo Canceller)

AI処理技術を駆使してスピーカーからマイクへの伝達関数を計算、マイクからの信号に含まれたエコーを取り除く適応アルゴリズムを搭載したソフトウェアです。通話開始から最初の収束時間までは非常に早く、一旦収束すると伝達関数から可能な変化を常に追跡して安定させます。

Acoustic Echo Cancellerの概念図

特長

  • 車内で全二重通話のダブルトーク対応が可能で、非常にクリアな音質
  • 幅広いサンプリング周波数(8 kHz – 48 kHz)をサポート
  • マルチ入力でのビームフォーミング機能もオプションとして搭載可能
  • タイムリーかつシンプルなチューニング手法の提供
  • チューニングGUIツール(BdController)によるスピーディな製品開発の実現

NRAI(AI-based Noise Reduction)

AECブロックと同じく、AI処理技術をベースにしたノイズキャンセリング機能です。マイクからの信号に含まれるエンジン音、ロードノイズやエアコンの騒音などを、NRAIスタックが制御、管理します。NRAIスタックは非常に高速な収束時間でノイズ信号の追跡を続け、急速に変化がある過度なノイズでも管理可能です。AECと連動することで、ダブルトークの場合でも処理能力を衰えさせることなく音声コミュニケーションの快適性を向上させる、音質に影響を与えないノイズキャンセリング機能を提供します。

AI-based Noise Reductionの効果

特長

  • シングルマイクでも十分なノイズキャンセリング効果を発揮
  • 音質の低下を防ぎ、音声認識の成功率が向上
  • 人工的な音声がなく、自然なボイスの流れで高速にノイズをキャンセリング
  • スピーチの明瞭度を向上

デモ音声

  • 加速時の車内のロードノイズ抑制
  • 車載エアコンの出力が最大時のノイズ抑制

デモ音声はこちら

ICC(In Car Communication)

自動車内では、前部座席と後部座席の乗員は皆前を向いて座るのが一般的です。その際、後部座席からの会話が聞き取り難いからといって、ドライバーが後部座席の乗員を振り返りながら運転するのは大変危険です。これに対し、自動車の前後にマイクとスピーカーを設置し、これらを通して走行中の車内コミュニケーションを明瞭化し、スムーズにするのがICCによるソリューションです。

BdSound社のICCソリューションは、車内の座席前後同士の乗員間の2チャンネル(2-Way)の音声コミュニケーションだけでなく、横座席同士の音声コミュニケーションを加えた4チャンネル(4-Way)による複雑なユースケースにも対応可能です。しかし、本来のエコーキャンセリング技術では、車内4カ所に設置されるマイクで生じる音声混信を防ぎ、”4-Way”を機能させるのは容易ではありません。多チャンネルの複雑な環境に対応し、車内にさまざまなエンターテイメント系アプリケーションを構築するには、各マイクの周辺に排他的なプライベート会話ゾーンを仮想的に作り出し、これにより音声混合を完全に防ぐBdSound社の独自技術マイクロフォンバブル「Microphone Bubbles」を取り入れることで実現できます。

In Car Communicationの利用イメージ

特長

  • 車室内でローカル拡声システムを創出
  • ハンズフリー機器、VA 機器、既存のハードウェア機器で稼働可能
  • 安定的かつ非常に低いレイテンシー、フルバンドで対応
  • 「Microphone Bubbles」と併用することで、よりクリアなアコースティック会話空間を創出

Microphones Bubble

従来のエコーキャンセル技術では、自動車内のような同一のアコースティック空間内に音声通話の遠端(far-end)と近端(near-end)の両方のマイクとスピーカーが置かれた場合、音声通話中に発生するエコーを完全に打ち消すことは容易ではなく、これにどう対応するかが課題となっています。また、Bluetoothハンズフリーを利用するシーンとして、車外(far-end)から電話を受ける場合には車載用マイクとスピーカーが利用されるため、助手席や後部座席の同乗者の声もドライバーのハンドルに取り付けられたマイクに通じて車外に漏れてしまいます。

車内で多方向から発生する複雑なエコー現象に対し、同一車内にいる乗員の周囲に相互が干渉しない、指定範囲以外の音声を遮断する仮想的なアコースティックプライベートゾーンを作り出す技術が、BdSound社が新たに独自開発した「Microphone Bubbles」です。仮想のアコースティックバブルで分離された車内では、これまで除去することが困難だった、周囲から直接入って来る音声干渉によるエコーがクリアにキャンセルされます。「Microphone Bubbles」は、さまざまな方向からキャップチャーされたエコーのキャンセリングだけでなく、エンジン音やロードノイズやエアコン音などのノイズも同時にキャンセリングされます。必要な音声のみを忠実に再現することで、車内でのコミュニケーションを向上させ、適切なレベルの快適さが提供されるとともにプライバシーが保護されます。

特長

  • 音声アーチファクト(人工的な音声)のない仮想アコースティックバブルを形成
  • プライベートゾーンごとに対応できるマイク数:最大4個まで選択可能
  • 強力なエコーキャンセリング機能
  • 車内コミュニケーションの快適性向上
  • 多チャンネルのICCへの実装で更なる音質向上

デモ音声

  • 混在する男女音声(一例)を分離し、プライベートで快適な音声コミュニケーションを実現

デモ動画

  • 車内の同乗者から同時に異なるボイスコマンドを発声させて、お互いの音声干渉を排除し、完全に分離した音声認識を実現

デモ音声・デモ動画はこちら

ABF(Adaptive Beamforming)

ビームフォーミング機能は、車内に複数のマイクを利用するマルチマイクが取り付けられていることによって、ピンポイントで話し手に焦点を合わせて、ノイズキャンセリングと抽出された音声の品質を改善します。2 チャンネル、あるいはそれ以上の複数マイクでスケーリングできる、セルフアダプティブなソリューションです。

Adaptive Beamformingの概念図

特長

  • 複数のマイクを管理してノイズのキャンセリング力を向上
  • マイクバブル(プライベート会話空間)を拡張生成し、会話の音質を改善
  • 強力かつセルフアダプティブ(煩雑なトレーニング不要)
  • BdSound S2C-Aのの各ブロックス間で、スムーズに機能を統合

WuW(Wake up Word)

BdSound S2C-Aは、多国語対応可能な車載音声認識(ASR)エンジンを搭載することができ、「Hey Siri」のウェイクアップワードを含む最新のApple CarPlay仕様に対応しています。

特長

  • ボイスアシスタントの認識率向上
  • エンハンスWuWスポーティングにより発話者の特定が可能
  • 音楽が流れているときでも、会話の中でも、音声コマンドの割り込みが可能
  • 乗員全員が同時に複数のコマンドを実行可能

MBI(Multichannel Barge-In)

ボイスアシスタントで車内における自然なインタラクションを行うためには、高感度の割り込み機能が要求されます。MBI ソリューションは、マルチチャンネルオーディオシステムをサポートするだけでなく、高精度の割り込み機能を持つボイスアシスタントによって、ユーザーにスムーズな対話体験を提供します。

Multichannel Barge-Inの概念図

特長

  • 音声アシスタントのメッセージの途中や音楽再生時に、音声アシスタントを中断することが可能
  • マルチチャンネルオーディオシステムで、マルチチャンネルを一元管理
  • 最大48kHzの音声サンプリング周波数をサポート

SCM(Smart Clock Manager)

オーディオシステムがいくつかのクロックドメインをベースにする場合、アコースティックエコー・ノイズキャンセリングのパフォーマンスが低下する可能性がありますが、 SCM が最適なECNR パフォーマンスを実現します。

Smart Clock Managerの概念図

特長

  • マルチ非同期クロックシステムで、ITU-T試験におけるECNRパフォーマンスを向上
  • 異なるデバイスとサブシステムの相互接続性を向上
  • 利用可能なプロセッサと計算リソースに応じたコンフィグレーションが可能

AQE(Audio Quality Enhancement)

AQEは、必要不可欠かつ基本的なオーディオ処理です。BdSound社のBdControllerは、シェルビングフィルター(shelving filters)からイコライザー(equalizers)、またリミッター(limiters)からダイナミックレンジコントロール(dynamic range control)までのすべてのバージョンの製品に標準搭載されているパラメータ調整ツールです。

Audio Quality Enhancementの概念図

特長

  • 柔軟なオーディオ処理ブロックの集まり
  • ボイスのカスタム化に役立つ
  • ダイナミックレンジコントロールシステムが、知覚される音量を維持しながらスピーカー出力時の歪みや振動を改善
  • 低フットプリント、省リソース