企業向け太陽光発電EMSモジュール

ユビキタスAIは技術力が高いだけでなく、同社の
スタックがスマートメーター側でも採用されてい
るので、安心して使えると判断しました。

エナジー・ソリューションズ株式会社 代表取締役社長 森上寿生氏
BtoB/EMSサービス採用
エナジー・ソリューションズ株式会社
代表取締役社長
森上寿生氏

低炭素社会の実現に向けて電力消費量を管理
再生可能エネルギーをより使いやすくする

地球温暖化対策として注目される、太陽光や風力などによる再生可能エネルギー。それらを効率的に活かすには、エネルギーマネジメントやスマートグリッドなどの仕組みの普及も欠かせない。エナジー・ソリューションズは、日本で再生可能エネルギーの活用が注目されはじめた2010年に設立され、低炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギーの活用拡大に寄与する、さまざまなソリューションやサービスを開発・提供している。その一つ、クラウドを活用したエネルギーマネジメントシステム(EMS)サービスには、IoT基盤が重要な役割を果たす。同社代表取締役社長の森上 寿生 氏に聞いた。

温暖化対策として期待される再生エネルギー関連の事業を展開

社会が排出する膨大な量のCO2により地球温暖化が加速し、異常気象やそれに伴う自然災害を頻発させているとされる。CO2排出削減による温暖化対策として期待されるのが、太陽光発電や風力発電などに代表される再生可能エネルギーの活用だ。先進国を中心として、再生エネルギーに対する固定価格買い取り(FIT:Feed-in Tariff)制度の採用が広まるなど、再生可能エネルギーの活用促進の取り組みが世界各国で進められている。
しかし再生可能エネルギーは、地球環境に存在するエネルギーを利用するものだけに、これまでの発電方法に比べ安定した電力供給が難しい。また太陽光発電や風力発電の設備は、自然災害により被害を受けやすいなどの課題も伴う。その運用や管理を効率化し、また得られるエネルギーを効果的に役立てるには、さまざまなテクノロジーを組み合わせることが重要だ。そのためのソリューションやサービスを開発・提供すべく、2010年に設立されたのがエナジー・ソリューションズだ。

「当社ではエネルギー、とりわけ再生エネルギーに関わるITサービスを提供しています。得意としているのは、クラウドやドローンなどの先進テクノロジーを活用し、エネルギーを効率的に活かすためのサービスです。設立して最初に提供を開始したサービスは、『ソーラーシステム航空写真設置診断サービス』で、空撮画像のクラウドサービスを応用し、建物屋上や敷地などに太陽光発電設備を設置する際の発電量を見積もるというものでした。ドローンとクラウドを活用して太陽電池パネルの検査を行うサービス『ドローンアイ』も、2016年から開始しています」と、森上氏は説明する。

太陽光発電設備をIoT・クラウドで遠隔監視。自家消費用にも対応

太陽光発電は季節のほか、天候によっても発電量が大きく変化する。設備から得られる実際の発電量をユーザーが把握・管理できるよう、エナジー・ソリューションズが提供しているのが「ソーラーモニター」という業務用太陽光発電設備向けのサービスだ。本サービスでは、太陽光発電設備に監視用のIoT機器を設置して稼働状況などの情報をクラウドに収集、設置場所の気象データ情報なども合わせ独自のアルゴリズムで監視し、それらを分かりやすいGUI画面で可視化してリアルタイムに提供する。クラウドを用いたサービスのためPCやスマートフォンなど多様な端末から最新状況を把握でき、遠隔地や僻地の発電設備でも監視に手間がかからないというメリットがあり、これまでに全国4,500カ所の設備に取り入れられている。
なお、FIT制度はたびたび見直しが行われ、買い取り価格が徐々に低下してきている。その一方、電気料金は原油価格などの影響から上昇傾向だ。その結果、近年では売電でなく、自家消費により電力コストを抑えるために太陽光発電設備を導入するという企業も増えてきた。その自家消費も含めたエネルギーマネジメントを支援すべく、エナジー・ソリューションズが2018年8月から新たに開始したサービスが、「ソーラーモニター Off-Grid(オフグリッド)」だ。

ソーラーモニターOff-Gridの画面イメージ。発電量や購入電力の状況を、分かりやすくリアルタイムに表示

オフグリッドとは、送電設備(グリッド)に直接つながらない発電設備、すなわち自家消費用の発電設備を意味する。ソーラーモニター Off-Gridでは、ソーラーモニターと同様に太陽光発電の発電量などを監視する機能に加え、ユーザーの自社設備における電力消費を監視する機能も備えることで、エネルギーマネジメントを可能にした。
「事業用の電気料金は、実際に消費した電力量の最大値、すなわちピークが反映されるため、消費量ピークを抑えるピークカットを行うことで電力コストの増大を抑えることができるというわけです。太陽光発電の自家消費は、そのピークカットに大きな効果をもたらします。ソーラーモニター Off-Gridでは、より的確なピークカットを行えるよう、太陽光による発電量と設備全体での電力消費量の両方を、クラウドで把握できるようにしました」(森上氏)

エネルギーマネジメントのために、ECHONET Liteなどの認証を取得

ソーラーモニター Off-Gridでは、電力消費を監視するためにスマートメーターから情報を取得する必要がある。そのためエナジー・ソリューションズでは、今回のサービス開始に当たり、スマートメーターからデータを取得する機能を開発しなければならなかった。
「その機能は今回、ソーラーモニターでも使っている3G通信モジュールに搭載することにしました。この通信モジュールはLinuxベースですが、これまでのサービスでは機能の作り込みをクラウドで行っていたため、単なるルーターとして使われていたものです。それに対しソーラーモニター Off-Gridでは、スマートメーターからローカルで取得できるよう通信モジュールに機能を作り込んだ上で、ECHONET Liteなどの認証を取得することが必要となりました。通信モジュールに組み込むソフトウェアの開発は、モジュール提供元に担当してもらいましたが、我々はそこにユビキタスAIのECHONET Lite対応ミドルウェアを採用しています。ユビキタスAIは高い技術力を持つだけでなく、ECHONET Liteの規格を策定するエコーネットコンソーシアムとの関係も深く、スマートメーター側でも同じくユビキタスAIのスタックが広く採用されているため、安心して使えると判断したのです。ユビキタスAIのエンジニアによるサポートもあり、ミドルウェアのSDKを組み込むのもスムースだったと聞いています」と森上氏は説明する。

ソーラーモニターOff-Gridのシステム構成イメージ。太陽光発電用パワーコンディショナー(PCS:Power Conditioning System)に加え、電力会社の低圧・高圧スマートメーターBルートからのデータ取得が必要となり、今回新たに開発したソフトウェアを3G通信モジュールに搭載した

こうして、新たなソフトウェアを組み込んだ3G通信モジュールは、低圧/高圧スマートメーターBルートを通じてデータを取得できるようになり、ソーラーモニター Off-Gridのサービスも無事に完成させることができた。まだ提供開始から間もないが、すでに日本各地で導入が始まっており、画面の見やすさや、リアルタイムに把握できる点などがユーザーから評価されている。
「スマートメーターからローカルでデータを収集することで、通信モジュール内にデータを一時的に保持することも可能となり、クラウドデータセンターへの通信が何らかの理由で中断した際にもデータを失わずに済みます。今後は、太陽光発電に蓄電池を組み合わせ、より効果的なピークカットを行えるようにするケースも増えてくるでしょう。太陽光発電と蓄電池の組み合わせは災害時の電源としても役立つため、環境のみならず防災の観点からも期待されているのです。当社も、そういった使い方に対応したサービスを作っていきたいと考えています」(森上氏)

company profile

エナジー・ソリューションズ株式会社

URL:http://www.energy-itsol.com/
所在地:東京都千代田区
事業概要:再生可能エネルギーやエネルギーマネジメント、スマートグリッド、PPS(Power Producer and Supplier、特定規模電気事業者による、いわゆる「新電力」)事業などに関するソリューションシステム開発およびサービスの提供

採用製品:
Ubiquitous ECHONET Lite