プライバシー保護 VS 先端技術 ―AI時代のプライバシーを守るbrighter AI社のDeep Natural Anonymization技術―

概要

AIイノベーション、高度解析、機械学習にかかわるテクノロジーが私たちの未来を形作っています。
これらは、自動運転車、デジタル治療、法執行機関から科学研究に至るまで、あらゆるものに影響を及ぼします。しかし、これらのテクノロジーが効果的に機能し、イノベーションを推進するには、大量かつ高品質の画像およびビデオデータが必要です。
その一方で、個人のプライバシーは、米国のCCPA、中国のPIPL、EUのGDPRなどのプライバシー保護規制によってこれまで以上に厳しく管理されています。このような状況下、企業・組織はどのように厳格な基準を遵守しながらイノベーションを追求するのでしょうか。

ピクセル加工や目元を隠すための黒線の追加などによる匿名化技術は、このジレンマに対する伝統的な対策でしたが、元のデータの正確性と整合性を維持することはできません。高品質データはAIのイノベーションと機械学習の柱ですが、プライバシー保護とビデオ分析との間でトレードオフが発生します。
このレポートでは、生成AIベースのテクノロジーであるbrighter AI社(本社:ドイツ)の次世代匿名加工技術DNAT(Deep Natural Anonymization)が、どのようにAIによる映像分析をゲームチェンジさせたのかを解説します。

DNATは、グローバル標準に準拠しながら元のデータの品質を維持することで、プライバシーとイノベーションを両立させています。

「未来を予測することは魔法ではありません、人工知能でしょう。」
- Dave Waters, University of Oxford

GDPR(一般データ保護規則)

EUのGDPR(一般データ保護規則)は、個人データを保護するための単なる法的枠組みではなく、世界で最も厳しいプライバシーおよびセキュリティ法の1つです。

EU内の企業だけではなく、EU市民に関連するデータを収集する組織には、どこであってもGDPRに基づく義務が課されます。
つまり、EU市民または居住者の個人データを処理する場合、それらに商品やサービスを提供する場合は、EUに拠点を置いていなくてもGDPRが適用されます。

GDPRは、その基準に違反した企業に対して、最大2,000万ユーロまたは収益の4%のいずれか高い方の罰金を科します。被害者は、損害賠償を求める権利もあります。

昨今、多くの人々が個人データをクラウドベースのサービスと共有している中、GDPRによる規制は、ヨーロッパがデータのプライバシーとセキュリティに真剣に取り組んでいることを明確に表しています。顔認識技術の向上とともに厳しくなるプライバシー規制に対応するための組織の責任は、ますます大きくなっています。

GDPRの7つの原則

1.適法性・公正性・透明性
合法的にデータを取得し、個人に完全に通知し、約束を守ります。

2.目的の制限
具体的に、データ収集の目的についてクライアントに通知します。

3.データの最小化
意図した目的に必要な最小限のデータのみを収集します。

4.正確性
個人データは正確であり、必要に応じて最新の状態に保たれている必要があります。

5.記録保存の制限
データは、可能な限り最小限の期間、データ対象者を識別できる形式で保持する必要があります。

6.完全性と機密性
違法な処理や偶発的な損失、破壊、損傷からデータを保護します。

7.説明責任
コンプライアンスを記録して証明し、上記を証明する文書を提示できるようにします。

次世代匿名加工技術DNAT(Deep Natural Anonymization)

急成長する顔認識技術は、イノベーションに不可欠な推進力になりつつあります。
しかし、GDPRなどのプライバシー規制は、それを上回るスピードで強力になっています。
映像データに依存して進歩を追求する組織にとっては、規制に準じたデータ収集対応が求められます。
また、元データの正確性・整合性を維持できない「ぼかし」や「ピクセル化」などの従来型の匿名化ソリューションは、特に映像分析面においての課題となるでしょう。

はたして、年年強化されるプライバシー規制がイノベーションにブレーキをかける、あるいは妨げることとなるのでしょうか。

DNATとは?

brighter AI社の次世代匿名加工技術DNATは、生成系AIに基づく独自の個人情報保護技術です。
認識されているもの・人に対してビデオ・画像内で個人が認識されないように保護するため合成したフェイスオーバーレイを作成したり、ナンバープレートをレプリカに置き換えたりすると同時に、DNATは機械学習に必要なデータ品質を維持したりします。

これにより、組織は安全にビデオや画像を使用してAIと分析を強化することができるので、プライバシーを脅かすことによって多額の罰金を科されたり、顧客の信頼を失ったり、評判を傷つけたりする恐れはありません。

DNATを使用する理由

1.安全性
DNATで合成された顔と元の顔とは、顔認識技術による再識別は不可能です。合成された顔はランダムに生成され、不可逆性を持ちます。

2.正確性
DNATで合成された顔であっても年齢・性別・人種・感情・向き・意図などは、分析とAI開発のために保持されます。

3.コンプライアンス対応
プライバシーに準拠したEuroPriSe認定。

DNATによる匿名化技術は、単に顔やナンバープレートをぼかすというものではありません。
顔の特徴と身体的属性は引き続き認識できるので、機械学習モデルのトレーニング用データとして使用できます。

DNATは、技術革新により効果的に個人のプライバシーを保護することで、他の保護技術との差別化を図っています。

"重要なのは、このアプローチによりビデオ録画がGDPRおよびその他の規制で規定されている厳格なデータ保護ガイドラインに準拠し続けることができることです。"
- Philipp Wende, Senior Consultant Automotive & Innovation Program Lead, DXC

DNATは発展とプライバシーのジレンマをどのように解決するのか?

DNATは、最初にAIを使用して元の画像やビデオ内の顔やナンバープレートなどその他の識別可能な要素を自動的に検出します。
次に、元の属性を反映しながら個人情報を保護するオーバーレイをランダムに生成します。

動画データを機械学習に活用するにあたって、個人の属性情報は欠かせません。そのため、最初の検出では分析を進めるための性別、感情、意図、年齢などの顔の属性の保持が重要です。

DNATは、機密性の高い個人データを含まない情報を変更せずに保持します。そうすることで、データの匿名化と元の品質の維持の間の妥協点を効果的に取り除きます。次に、不可逆的なオーバーレイを元のオーバーレイに適用し、元画像とも顔認識による再識別が不可能であることを保証します。

DNATの仕組み

1.DNATは、元の画像内の顔を自動的に検出します。

2.オーバーレイが各顔に対して生成されます。

3.これらの不可逆性をもつオーバーレイと元の顔とを置き換えます。

「この技術により、欧州のGDPR、中国のCSL、米国のCCPAなど、世界中のプライバシー規制に準拠した公共でのデータ収集が可能になります。」
- The Washington Post, March 21st, 2019

Method (手法)Fast redactionYouTubeFace PixelizerDNAT
mIoU (%)65.7%74.9%88.1%98.5%

mIoU(mean Intersection over Union)は「平均IoU」を指し、画像の重なりの平均割合を表す指標です。数値が大きいほど、変更前の画像にその匿名化技術が与える影響は少なくなります。

従来の匿名化技術とDNATの比較画像

DNAT vs 従来の匿名化技術

ぼかしや目元を隠すための黒線の追加など、従来の匿名化ソリューションは分析や機械学習と互換性がないためデータ品質を低下させます。
これに対してDNATは、自然かつ各種準拠しているデータでありながらセマンティックセグメンテーションを維持するので、年齢や性別などの属性も保持します。

DNATによる匿名化処理

DNATは、プライバシー保護とビデオ分析との間でトレードオフを解決し、GDPRコンプライアンスを保証する次世代の匿名加工技術です。

従来の匿名化技術に対し、brighter AIの高度な匿名化技術とそのソフトウェアは、画像およびビデオデータ内の個人を特定できる情報(PII Personally Identifiable Information)を保護します。DNATで処理されたデータは、GDPR、CCPA、APPI、PIPLのようなプライバシー規制に準拠します。

「brighter AIは、データ保護規制に準拠して画像およびビデオデータを使用および保存するという根本的な問題を解決しました。」
- Handelsblatt, Nov. 23rd, 2019

brighter AI社の匿名化ソフトウェアに関するレポート

brighter AI社の映像匿名加工ソリューションは、さまざまな解像度と観点から構築された大規模なデータセットで学習されたディープラーニングを使用して物体を認識しています。
そうすることで、従来のアプローチと比較してより高い精度と堅牢性が提供されます。

以下は、brighter AI社のソリューションにより匿名化されたデータで学習された機械学習モデルの精度に関するレポートです。

「brighter AIは、世界で最も先進的な画像・ビデオ編集テクノロジーを提供します。」
- Marian Gläser, CEO & co-founder

個人情報保護と技術革新 #1

brighter AI社の映像匿名加工ソリューションは、最新のプライバシー基準に準拠した自動車データ収集のための設計がされています。
現在の開発プロジェクトと将来の車両フリートデータ収集の両方をサポートするこのソリューションは、データ品質を損なうことなく自動運転などの機械学習モデルを学習させるのに理想的です。

「brighter AI社の映像匿名加工ソリューションは簡単に統合でき、自然な匿名化技術は検証戦略の改善のためにまさに我々が必要としたものでした。」
- Vaclav Schiybel, System validation platform manager, Valeo

個人情報保護と技術革新 #2

機密性の高い医療ビデオおよび画像データでは、患者とスタッフを匿名化することが重要です。brighter AI社では、ヘルスケアユースケース向けに大規模な自動匿名化のためのソリューション を提供しています。
アプリケーションは、ユーザーエクスペリエンスや機器のテスト、デジタルセラピューティクス、教育と研究、患者除法の追跡まで多岐にわたります。

「人を匿名化する機能が非常にうまく機能するため、brighterAI社のサービスを使用することにしました。 特に、認識方法の正確さには驚きました。APIは十分に文書化されており、クラウドソリューションにすばやく統合できました。」
- Jens Dürasch managing director, OnREX GmbH

個人情報保護と技術革新 #3

brighter AI社は、インテリジェントなビデオ分析と画像およびビデオデータ保存のプライバシーに準拠した使用をサポートします。
これにより、公共部門と民間部門の両方で、ビデオ分析や機械学習モデルの学習のためにデータを合法的に処理することができます。
BVG(ベルリン交通局)がbrigther AIの映像匿名加工ソリューションを使用して、路面電車の運転手のトレーニングとコンプライアンスに準拠したeラーニングビデオを導入し、業務効率を改善した事例です。

BVGでのbrighterAIの活用

ベルリン市内の主要駅で、プライバシーに配慮したインテリジェントなビデオ分析がおこなわれました。
ドイツ最大の交通機関であるDeutsche Bahnが、既存のカメラインフラを使用して、電車や駅でのインテリジェントなビデオ分析、さらには列車の自動運転開発を支援しました。
これにより、組織はデータ保護に関する目標を簡単に達成し、信頼できる社会的責任のある方法でデジタル化を加速できます。

個人情報保護と技術革新 #4

brighter AI社は、コンピュータービジョン、機械学習、ディープラーニングの研究に従事する大学や企業のデータ収集、共有、保存をサポートしています。

「大学のパートナーやFacebook AI Researchと協力して、コンピュータービジョンの研究においてデータセットを匿名化するために、brighter AI社の映像匿名加工ソリューションソリューションを使用することにしました。brighter AI社のソリューションの正確さ、シンプルなオンプレミスセットアップによる様々な利用方法の可能性そしてbrighterAIチームによる素晴らしいサポートに感謝します。」
- Bernard Ghanem, Associate Professor, King Abdullah University of Science and Technology

結論:新しい匿名化の姿

「データ」は、イノベーションに不可欠な原動力となっています。
一方で、個人情報保護に関する法律の強化は、データ利用により一層の制限を課すことになります。
従来の匿名化技術にはデータ品質を維持する機能がないため、それが原因となり開発を遅らせたり、完全に停止させたりする恐れがあります。
DNATは、これらの問題を解決する次世代の匿名化技術です。DNATは、元のデータの品質を保持しつつすべてのグローバルなプライバシー規制に準拠する新しい顔へ作り方変えることで匿名化 、プライバシーと画像データを利用した開発のジレンマを解決する技術です。
これにより、組織は安全かつ責任を持ってイノベーションを推進することができます。

従来の匿名化技術を継続した場合、

1.妥協した画像データを機械学習用に継続使用すると、製品への悪影響、CX(カスタマーエクスペリエンス)の低下、競争力と収益の損失などにつながります。

2.プライバシー基準を遵守せずに編集されていないオリジナルデータを使用することで、多額の罰金や悪評のリスクを招く恐れがあります。

2022年(10月まで)にデータ法違反に対して支払われた罰金は、合計€555Mでした。
(情報元: enforcementtracker.com)

グローバルなプライバシー基準・法律に準拠しながら、AI開発、映像解析、機械学習強化するためにどのようなことができるのかなど、brighter AI社の映像匿名加工ソリューションについてのお問い合わせは、以下のボタンよりお気軽にお問い合わせください。


製品情報

映像匿名加工ソリューション

brighter Redact

画像/動画データの個人情報保護とデータ活用を両立
製品ページを見る

次世代匿名加工技術DNATが機械学習モデルの学習に与える影響

コラムを読む

Neurala VIAを使った自動外観検査のデモ作成

コラムを読む

VectorBlox™でNeutrino™のAI最適化検証

コラムを読む

組込み機器のスマート化で取り組むSDGs

コラムを読む

センサーと機械学習をつかったジェスチャー認識

コラムを読む

機械学習を使ったMPCによる空調制御デモ

コラムを読む