組込み機器のスマート化で取り組むSDGs ―環境先進国スウェーデンで生まれたエッジ機械学習Ekkonoで考える―
Ekkono社が目指す世界的な規模で取り組むサステナブルIoT
イノベーションや新しい技術は、よりサステナブルな世の中の実現に貢献する可能性を持つものです。日本の製造業の多くでもSDGsへの取り組みが求められ、実際に具体的な取り組みも進んでいます。今回は、エッジ機械学習ソフトウェアの開発会社であり、サステナビリティが企業のDNAとして根付き、自らの存在理由であると考えるEkkono社とその取り組みについてご紹介します。
2015年、すべての国連加盟国は持続可能な開発を目指しアジェンダ2030を採択しました。このアジェンダでは、人間、地球および繁栄のための行動計画として17の目標(Sustainable Development Goals, 以下SDGs)を掲げています。Ekkono社では、"限られた地球資源の使用方法を変えるには新しい技術こそが重要な原動力である"という信念の下、創業以来、この目標達成に貢献するための活動を追及しています。例えば、SDGsのうち9番目(産業と技術革新の基盤づくり)および12番目(つくる責任 つかう責任)には直接貢献しています。
また、Ekkono社自身の製品として、顧客企業によるハードウェアの製造・既存製品のソフトウェアアップデートから新機能の追加まで、製品ライフサイクル上で活用でき、かつSDGにも貢献可能なエッジ機械学習ソフトウェア「Ekkono」を提供しています。
Ekkono社では、お客様と取り組む各プロジェクトにおいて、「Ekkono」を利用することで、SDGsのどの項目に貢献できるかを評価しています。その結果、以下のようなプラスの影響があることが分かっています。
機器の長寿命化と廃棄物の削減
ハードウェアの長寿命化
- 予知保全: 部品の致命的な消耗や機器の故障を事前に予測して避けることが期待でき、製品寿命の延命につながります。これにより、製品自体が壊れる前に、メンテナンスや最低限の部品交換が行えるようになり、製品や部品の過度な廃棄削減が期待できます。
- サステイナブルチューニング:デバイス状態の経年変化に合わせてソフトウェア側から自律的にチューニングを行うことで、デバイスの機能性を保持するユースケースも考えられます。デバイスの長寿命化につなげることができれば、ハードウェアの消費を抑制し、限りある資源を守ることが期待できます。
性能の最適化
- エッジデバイスは、それぞれが独自の環境・コンディション・アプリケーション下で使用されます。すべての個体が稼働環境に合わせて最適化された状態で稼働することで、製品の長寿命化につながることが期待できます。
性能の最適化によるエネルギー効率化
デバイス個体ごとの最適な使用
- エッジ機械学習により、各エッジデバイスが常に最適な状態で稼働するような自動チューニングが可能です。この最適化は、数百万台、数億台という規模にもなるエッジデバイスの機器数で考えると、結果的にはCO2などの排出抑制効果や膨大なエネルギーの節約につながります。2050年の達成に向けて対策が急務なカーボンニュートラルに向けても前向きな効果が期待できます。
物や人の移動の削減
- エッジ機械学習により、エッジデバイスに自動チューニング、予知保全、問題の自己診断などの機能が付加できます。現地でのメンテナンスが減少・または不要になることで、専門人員の物理的な移動削減や、それに伴うエネルギーの節減が期待できます。
さらに、「Ekkono」は消費電力の限りなく低いマイコン(最小でCortex-M0+クラス)上で使用可能なため、ソフトウェアを動作させるにあたって必要なエネルギーも最小限に抑えることが可能です。
世の中に存在するすべての組込み機器がエッジ機械学習を搭載することでスマート化し、自己診断・自動チューニングにより製品の長寿命化やエネルギー消費の削減につながるとしたら、どれほどの変化が生じるでしょうか。スマートIoTがサステナビリティ促進のためにできることは計り知れません。
ユビキタスAIは、組込みソフトウェア技術のスペシャリストとして、SDGsとして掲げられている持続可能な開発目標に向けた企業の活動を後押ししていきます。
Ekkono SDKについての詳細は、以下のボタンよりお気軽にお問い合わせください。
このコラムの著者
株式会社ユビキタスAI
新規事業室
深見 修次​(ふかみ しゅうじ)
新規事業室にて、新規事業「HEXAGON」に従事しながら、AIのロバスト性向上、AI向け学習データのプライバシー問題の解決、エッジAI、受託開発などのAI開発支援ツール・ソリューションを担当。海外、国内のAIスタートアップとの連携も推進。
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