2026年2月公開

WEB株主通信

ご挨拶

Message

株主の皆さまには、平素より格別のご支援を賜り、心より御礼申し上げます。
このたび、2025年9月に代表取締役社長CEOに就任いたしました、大吉裕太と申します。

私はこれまでの実務経験において、JPモルガン証券にてクロスボーダーの資金調達、ベンチャーキャピタルファンドにおける先端技術企業への投資実行・経営支援、テクノロジー企業CFOとして収益基盤の構築やM&A遂行に取り組むなど、多様な事業領域において経営戦略や資本戦略の立案、事業運営に携わり、企業価値を継続的に高めるための実行責任を担ってまいりました。
これらの経験を活かして、ユビキタスAIが今後取り組むべき成長投資の最適化、事業領域の拡大、収益基盤の強化といったテーマに対して、役割を果たしていきたいと考えています。

私が2024年にユビキタスAIへ参画を決めたのは、同社の有する技術資産を通じて、より広範な産業や社会で価値を発揮できる可能性を感じ、次のさらなる成長ステージを目指すことができると考えたためです。特に、量子コンピューティング技術の台頭やサイバー攻撃の高度化が加速するいま、当社が果たすべき役割はさらに重要になってまいります。
新経営体制のもと、技術起点の成長と収益基盤の強化を軸に、経営と事業の抜本的な構造改革を推進し、企業価値のさらなる向上を目指します。そして、より多くのお客さま・株主の皆さまに選ばれ、信頼される企業づくりを進めてまいります。

株主の皆さまには、引き続きのご支援とご期待を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

トップ対談

Interview

2025年9月2日付で新体制となった当社は、マテリアリティの一つである「技術」を企業価値向上の中核に据え、持続的な成長と社会的意義の両立を目指す経営を、より一層戦略的に推進しております。
今回の対談では、グループ経営全般およびコーポレート組織を統括する代表取締役社長CEOの大吉裕太と、グループ事業全般を統括する取締役副社長COOの古江勝利が、新体制移行後の取り組みと中長期的な成長戦略について語ります。

代表取締役社長CEO大吉 裕太(写真右)
取締役副社長 COO古江 勝利(写真左)

未来の注力技術を特定し
企業価値向上の改革プランを策定

新体制となって取り組んだことを教えてください。

大吉
当社は2025年9月2日から新体制に変わりました。まず取り組んだことは、当社代表の交代と新体制の構築に伴うステークホルダーの方々からの信頼回復です。社内外の関係者の皆さまへの説明、情報共有、そして再発防止策を含む各施策について真摯に説明をしてまいりました。
その上で、事業面では当社の未来の注力技術を特定していきました。2030年、2035年を見据え、当社の企業価値を最大化するドライバーは何か。そのためにどの領域で構造改革を進めるべきか。こうした問いに、正面から向き合い、グループ横断で分析を進めてきました。現在は、重点領域の改善に向けた具体的な取り組みをすでに開始しております。
古江
体制が変わって以降、社内のスピード感と目的意識は明らかに高まっています。例えば、慣習的に内向きになりがちだった会議体や報告のあり方を改めた結果、「事業を成長させる」という本質的な目的に立ち返って取り組める環境に変化してきました。大吉が社員に向けてよく伝えている言葉に、「『今』は過去の取り組みの結果であり、現在の行動は『未来』の結果となる」というものがあります。この当たり前とも言える考え方が、知らず知らずのうちに形式に埋もれてしまっていた部分がありました。現在の行動の延長線上に未来があるという意識が共有されることで、やるべきことがより明確になってきていると思います。

市場とニーズの変化を捉えた
ビジネスチャンスと成長ストーリー

我々が属する市場は、今後どのように変化するでしょうか。

古江
まずサイバーセキュリティ対策関連市場について、非常に速い変化の流れを感じています。サイバーアタックの問題は日々深刻化し、生活者レベルでも影響を実感されている方は多いと思います。頻発するサイバーアタックを背景に、各国で規制強化が進んでおり、例えばヨーロッパではEUサイバーレジリエンス法が発効され、これに対応していない製品は2027年以降EU域内で販売できなくなります。そういったことから、日本企業にとっても、サイバーセキュリティ対策は「選択肢」ではなく、事業継続の前提条件になりつつあります。
当社はサイバーセキュリティ分野におけるソリューション提供体制※1※2を整えており、一連の動きを中長期的な成長につながる重要なチャンスとして認識しています。
また、近年SDV(Software Defined Vehicle)に代表されるようなSDxニーズの高まりも当社にとって追い風です。自動車を例にすると、従来は生産時に取り付けたハードウェアの良し悪しによって機能や性能が決まっていましたが、近年ではSDVが普及し、あらかじめ組み込んだソフトウェアを継続的にアップデートしてハードウェアに頼らない機能の追加ができるようになりました。ハードウェア依存の設計からソフトウェア中心の設計に変わるSDxの取り組みはその他の産業でも進んでいます。我々はソフトウェア会社としてのアドバンテージを活かし、しっかりとニーズをつかんでいく必要があると思います。

激しい環境変化の中で勝ち残るためにどのようなことに取り組みますか。

大吉
当社は約25年にわたり、組込みソフトウェア領域で事業を展開し、安定したキャッシュフローと、国内外の大手企業を中心とした強固な顧客基盤を構築することで、業界内での確固たるプレゼンスを確立してきました。
こうした基盤を土台に、激しい環境変化の中でも持続的な成長を実現していくためには、「ニッチトップの技術力」と、それを顧客の価値創出につなげる「営業力の高度化」を掛け合わせ、そのシナジーを最大化していくことが重要だと考えています。
技術面では、セキュリティ分野を中心に、時勢や市場ニーズを的確に捉えた製品・サービスを継続的に投入し、売上高に占めるセキュリティ関連事業の比率を高めていく方針です。また事業展開の面では、国内にとどまらず海外市場への展開を一層強化していきます。プロダクトのグローバル化を進めるとともに、当社のソリューションを世界に届けるためのグローバルアライアンスの強化にも取り組んでいきたいと考えています。

選択と集中による効率化と
次の成長に向けた戦略投資

改革プランと中長期的な成長の実現に向け、足元で取り組んでいく施策を教えてください。

大吉
新体制となる2026年3月期を「第2の創業期」と位置づけ、収益性の改善に向けた施策を進めるとともに、コーポレート基盤を強化するための先行投資を実施していきます。
また、現在上場時の株価水準を大きく下回る状況が続いていることについても重く受け止めています。
そのため、安定的な事業キャッシュフローを活用しながら、オーガニック成長に加え、成長性の高い領域におけるM&Aも含めた非連続的な成長を着実に進めてまいります。
その際には、PMI(M&A統合後のプロセス)を重視し、将来的な収益性向上につながる投資を戦略的に行っていく方針です。
古江
ここ10年ほどを振り返ると、オープンソースソフトウェアの普及により、「無料で使えること」が重視される流れが強まっていました。一方で、当社は高品質な有償製品とサポートを組み合わせたビジネスモデルを貫いてきました。サイバーセキュリティ分野においては、コストをかけてでも安心・安全を重視する顧客ニーズが確実に存在しており、当社が強みを発揮できる市場だと考えています。
経営資源を重点領域に集中させることで、当社を代表する看板商品を創出し、持続的な競争力を高めていきたいと考えています。
大吉
今後の研究開発で、注力すべき領域の一つは「耐量子暗号」です。量子コンピューターが社会実装されていくこれからの時代において、国家の安全保障はより一層重要なテーマになります。技術革新がもたらす未来は、「光」側から見ると望ましい進化である一方、「闇」側では暗号が簡単に解読されてしまうリスクといった新たな脅威も内包しています。量子コンピューター時代において高度なサイバー攻撃に耐えうる新たな技術や製品の開発はますます重要になると考えています。
当社はIoTデバイスを起点としたサイバー攻撃を防ぐ製品の実用化を着実に進めており※3、さらに、数少ない日本国産のセキュリティ製品である点にもアドバンテージがあると認識しています。技術革新と安全・安心の両立を実現する企業として、社会的意義のある成長を目指していきます。

株主・投資家の皆さまへ

株主さま、投資家さまへメッセージをお願いします。

大吉
私はこれまで、経営・戦略・投資・財務の立場から、AI・IoT・ロボティクスなどの先端技術開発を行う企業の成長に携わってきました。その経験を活かし、ユビキタスAIの企業価値を中長期で高めていくことが、私の使命だと考えております。
現在は変革の途上にありますが、当社は長年にわたり培ってきた技術と組織の力があります。これらを成長の原動力として、再び成長軌道に乗せていく所存です。ぜひ、長期的な視点で当社の取り組みをご理解いただき、引き続きご支援を賜われますと幸いです。

トピックス

Topics

量子時代到来に向けた取り組み

量子時代に向けた耐量子暗号の研究開発から事業化への着実な前進

成長投資により次世代技術領域の展開を加速

#01

研究開発の開始

2023年6月23日リリース

4アルゴリズムについて、仕様理解と自社実装の検証までを実施
NIST※1で標準化が進む次世代暗号「耐量子暗号(PQC = Post-Quantum Cryptography)」の研究開発を開始、選考に残った4アルゴリズムすべてで仕様理解と自社実装の検証を行い、一定の成果を得ました。PQCの技術習得はIoTデバイスを構成するソフトウェアの堅牢性向上に役立つだけでなく、当社のIoT機器セキュリティ検証製品の展開にも有用なことが期待できます。現在、量子コンピューターの実用化に先駆けて、「Hack now, Decrypt later(ハックしてから後で解読)」のサイバーセキュリティ攻撃がすでに行われている可能性があります。今後、既存の暗号が解読され秘匿データが露見するリスクが指摘されており、そのリスクヘッジ手段の一つとしてPQCは必要になっています。サイバーセキュリティ攻撃の入口となるIoTデバイスにおけるセキュリティ強化のため、組込み分野のエキスパートとして今後もNISTによる標準化と実装化へ継続的に取り組んでまいります。

※1 NIST(National Institute of Standards and Technology):米国の標準化機関。

#02

実装に目途

2025年11月11日リリース

市場で広く使われるArm® Cortex®-MマイコンでのPQC実装に目途
2023年に4アルゴリズムの仕様理解と自社実装の検証まで到達した取り組みを基盤に、低価格帯であるArm Cortex-Mベースの32bitマイコンでの実装に目途を得ました。NISTが標準化したFIPS 203~205※2の実装・検証を完了し、さらに、標準化作業中のFALCON※3とHQC※4についても暫定仕様に基づく実装・検証を終え、最終標準化を待つ段階となりました。PQCへの移行は世界的に加速しており、NISTは「2035年までの移行完了」を推奨しています。特に既存の暗号方式RSA 2048bit※5は「2030年末」が安全期限とされ、公共システムを含め移行が急務となっており、日本でもマイナンバーカードの将来的なPQC対応が検討されています。

  • ※2 FIPS 203〜205:NISTが標準化したPQC規格群。
  • ※3 FALCON:PQC候補の署名方式。
  • ※4 HQC:PQC候補の暗号方式。
  • ※5 RSA 2048bit:従来の公開鍵暗号方式。

#03

拡大に向けた動き

2025年11月20日リリース

PQCを含む次世代技術の事業化を支える資金調達
当社は、財務レバレッジを管理しつつ積極的に資金を調達し、経営基盤を強化する方針を示しています。この方針に基づき、PQCの製品化への投資を含む事業推進の目的で、三菱UFJ銀行及びりそな銀行から総額10億円の資金調達を実施しました。
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