今から学ぶOPC UA② ―OPC UA規格の特長―

本コラムでは、OPC UAの概要から具体的な活用方法までを複数回にわたり解説していきます。

第2回目の今回は、OPC UA規格がなぜ注目に値するものなのかを知るために、「OPC UA規格の特長」についてご説明します。


概要

2008年にリリースされたOPC Unified Architecture (以下 OPC UA)は、その前身のOPCクラシック機器が個別に実現した機能性を一つの仕様に統合し、プラットフォーム非依存性を実現した、サービス指向型アーキテクチャの通信規格です。世界的にOPC UAを広めるべく、国際電気標準会議(以下IEC)により標準化を目指した設計がなされ、2012年よりIEC62541の国際標準となっています。その後、OPC UAはさらなる広がりを見せ、国家的なスマートマニュファクチャリング戦略における通信規格としての採用や、他の通信規格とのコラボレーションも進んでいます。

OPC UA規格の特長

OPC UA規格は、仕様策定当初に定めた目的を満たすことを出発点としており、以下の図に示されるような多層構造になっています。(参考出典:https://jp.opcfoundation.org/about/opc-technologies/opc-ua/ )

OPC UA規格の目的

  • 機能の同等性:これまでのCOM OPCクラシックの仕様は、すべてOPC UA仕様にマッピングされて同じように使用が可能。
  • プラットフォーム/ベンダー非依存:組込みのマイクロコントローラからクラウド基盤のインフラまで、様々なプラットフォームで使用可能。また、特定ベンダーの独自通信技術にも非依存のため、OPC UAを使用するいかなるベンダー製品でも依存性を完全に排除し使用が可能。
  • 安全性:元のOPCクラシック規格におけるセキュリティを一から書き直し、暗号化、認証、監査など、現代の通信規格に求められるセキュリティ要件に対応。センサー情報を扱うOTから、全体的な戦略を立てるIT層までを安全に接続。
  • 拡張性:既存のアプリケーションに影響せず、新しい機能が追加可能。
  • 包括的な情報モデリング:複雑な情報の定義が可能で、全OPC UAエンティティ間では一定かつ普遍的な形式で情報モデルの表示・検索が可能。

OPC UA規格の概念図

OPC UA規格の概念図出典:https://opcfoundation.org/about/opc-technologies/opc-ua/

クラウドからOTレベルまでをつなぐOPC UA

OPC UA規格は徐々に発展を遂げ、産業オートメーションの階層において、下位層ではフィールドレベル、上位層ではPubSub(2018年にリリースされたOPC UA規格のPart 14にて規定)を活用したクラウドにまで拡張が進んでいます。将来的には、データが生成されるセンサーレベルからクラウドレベルまで、セキュアかつリッチな情報伝達が可能なOPC UAがシームレスに産業ネットワークをつなげるようになっていきます。

注:OPC UAは元々通信プロトコル非依存のため、上位・下位への仕様拡張にあたっては既存の通信プロトコルをベースに仕様のマッピングが行われ、下位のフィールドレベルにはUDP、上位のクラウド通信にはAMQPおよびMQTTが使用されています。

OPC UA規格活用の広がり

OPC UAが特長とする拡張性や柔軟性の高さから、従来のFA業界だけではなく、新たな市場やアプリケーションへの適用が続々と広がっています。OPC UAは、他の業界・規格団体もOPC UAをベースとして独自の情報モデルを策定することができるよう設計されています。これにより、プロセス産業・エネルギー産業・産業キッチン用品などさまざまな業界団体とのコラボレーションが進んでおり、データ相互運用性を実現する標準規格としての幅を広げています。

OPC UA規格のコラボレーションについてはこちら のOPC Foundationのページをご参照ください。

結論

セキュリティ性と拡張性を兼ね備えた設計であるOPC UAは、その特長からインダストリー4.0の中核を担う役割となっていますが、近年ではさらにOTからITへと対応範囲を拡張(下位のフィールドレベルから上位のクラウドレベルまで)し、さらにさまざまな業界団体とのコラボレーション(Companion Specs)により活躍の幅を広げています。OPC UAの仕様は、OPC Foundationにて常に改良と拡張が検討され、相互運用性を実現する通信規格として成長を続けています。

参考文献

OPC Foundation "OPC Unified Architecture Interoperability for Industrie 4.0 and the Internet of Things"
https://opcfoundation.org/wp-content/uploads/2023/05/OPC-UA-Interoperability-For-Industrie4-and-IoT-EN.pdf


3回目となる次回は、OPC UA通信への対応方法について解説します。


Matrikon® FLEX™ OPC UA SDK

Matrikon社は、OPC UA組込みサーバーソフトウェア開発キット(FLEX OPC UA SDK)の開発を通じ、規格に準拠した高性能なOPC UAサーバーの機器への直接搭載と、機器へのスマートな通信機能の構築を容易に実現しています。FLEX OPC UA SDKは、さまざまな種類の機器で使用できるように設計された、拡張性の高さを特長とする組込み用OPC UAソリューションです。

このコラムの著者
株式会社ユビキタスAI エンベッデッド第3事業部 中村 陽子

株式会社ユビキタスAI

エンベデッド第3事業部

中村 陽子​(なかむら ようこ)

組込み業界のエンジニアとして25年以上の経験を積む。組込み向け機械学習、ファイルシステム、フラッシュメモリドライバ、OPC UAなど幅広い分野に精通。華やかなアプリケーションではなく、縁の下で力を発揮する組込みソフトウェアの面白みを再認識。その魅力を広く世に伝えるべくコツコツ活動中。

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