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2011年10月19日
株式会社ユビキタス
ユビキタス社、Linux/Android高速起動ソリューションの新版「Ubiquitous QuickBoot R1.2」を発売~圧縮機能、差分アップデート機能などを強化し、導入、運用がさらに容易に~
株式会社ユビキタス(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:三原 寛司、以下ユビキタス社)は、Linux/Androidシステムの高速起動ソリューション「Ubiquitous QuickBoot」(ユビキタス クイックブート・以下QuickBoot)のソフトウェア開発キット(SDK)最新版となる「Ubiquitous QuickBoot Release 1.2(以下、QuickBoot R1.2)」を本日10月19日(水)より提供開始することを発表します。
QuickBootは、ユビキタス社が独自開発した画期的な起動技術のソフトウェア製品です。アプリケーション側で使用しているメモリ量に依存せず、電源オフの状態からわずか数秒での高速起動を実現します。Linux/Androidベースの組込み機器は、高機能化とともにシステムサイズが増大し、ますます起動時間が遅くなる傾向にありますが、QuickBootのSDKを組み込むことにより起動時間を短縮し、ユーザーの利便性の向上や、待機電力の低減など付加価値の高い製品を実現可能にします。2010年3月の発売以来、多数の問い合わせを頂戴する中、すでにいくつかの量産製品での採用も決定しています。
今回、これまでのお客様の開発現場からの意見・要望などを踏まえ、約1年ぶりに開発者向けのSDKの最新版を提供します。
QuickBoot R1.2では、「スナップショットイメージの圧縮機能」や「差分アップデート機能」によって、より広範囲の組込み機器に導入しやすくなりました。さらにオープンソースソフトウェアを活用できるようにするなど、導入時や運用時の利便性を向上させています。
QuickBoot R1.2の機能強化ポイント
●スナップショットイメージの圧縮機能サポート
QuickBootは、システムの起動に必要なメモリ領域のスナップショットイメージを不揮発性ストレージからRAMに復元することで高速起動を実現していますが、スナップショットイメージの格納領域として搭載しているRAMと同容量の不揮発性ストレージを必要としていました。QuickBoot R1.2では、スナップショットイメージの圧縮機能により必要なストレージ容量を使用メモリ量の約50%前後まで※1 削減しました。これにより、ストレージ容量の制限でQuickBootを実装できなかった機器でも、QuickBootを導入することが可能になります。圧縮アルゴリズムは、サンプルコードを提供する同梱のLZF、LZMAなどの他、お客様が所有しているアルゴリズムを含め選択可能です※2 。
●差分アップデート機能のサポート
QuickBoot導入の際に、Linux/Androidシステムやアプリケーションのアップデートが発生する場合、スナップショットイメージも併せてアップデートする必要があります。今回サポートする差分アップデート機能は、スナップショットイメージの全面書き換えではなく、新旧2つのスナップショットイメージの差分を抽出し、差分情報のみから新スナップショットイメージを作成するための各種ユーティリティを提供します。開発を行うお客様は、これを利用することでLinux/Androidシステムのアップデートに必要なバイナリサイズを大幅に削減することが可能です。
●Android 2.3を追加サポート
Android向けに最適化された起動方式(Androidモード)をサポートするオプションパッケージAndroid PackもQuickBoot R1.2に対応させ、同時にリリースしています。これにより、Android 2.2およびAndroid 2.3がサポートされます。今後も最新バージョンへの対応を継続していきます。
●オープンソースソフトウェアが活用可能
QuickBoot Storage BIOSモジュールのサポートにより、他のソフトウェアモジュールとストレージドライバを完全に分離し、GPLライセンスの適用されているブートローダー等に含まれるストレージドライバコードを活用してQuickBoot用のストレージドライバを実装することができるようになりました。これにより、開発工数を大幅に短縮することが可能です。
また、2011年11月16日(水)~18日(金)の期間、パシフィコ横浜で開催される組込み総合技術展「Embedded Technology 2011」のユビキタスブース(ブース番号:E-35)にてQuickBoot R1.2使用したデモを行う予定です。
■ 株式会社ユビキタス 代表取締役社長 三原 寛司のコメント
「今回の圧縮機能の追加サポートなどにより、QuickBootの適用の機会とその範囲が広がることを大変嬉しく思っております。これまでストレージの空き容量などのハードウェア等の制約でQuickBootが導入できずにいたお客様は、今後、QuickBootを組み込むことにより起動時間の問題を早期に解決でき、製品自体の付加価値を高めるだけでなく、ドライバの開発が容易になるなどQuickBootをより短期で製品導入することが可能になりました。今後についても、QuickBootをさらに発展させ、革新的な製品とサービスでお客様の製品開発を支援していきたいと考えています。」
※1圧縮率は、使用する圧縮アルゴリズムと圧縮する対象データに大きく依存するため、圧縮率を保証するものではありません。
当社テスト環境でのLZFおよびLZMA圧縮アルゴリズムによる、スナップショットイメージサイズと起動時間への影響を調べたもの(一例)を以下に示します。
Freescale社 i.MX51 EVK (Cortex-A8 800MHz)、Linux kernel 2.6.35 Linux使用メモリサイズ 約160MB、 スナップショットイメージをSDカードに格納、ストレージ共有なし、スタティックモード条件下で計測。
●LZF圧縮の場合
スナップショットイメージサイズは、約88MB(約45%減)。起動時間への影響は、スナップショットイメージのRAMへの転送レート(圧縮展開時間含む)が約50%向上し、電源投入からの起動時間は、3.6秒(約10%短縮。内、約2秒は、デバイスの初期化時間)
●LZMA圧縮の場合
スナップショットイメージサイズは、約67MB(約60%減)。起動時間への影響は、スナップショットイメージのRAMへの転送レート(圧縮展開時間含む)が約28%低下し、電源投入からの起動時間は、5.0秒(約25%延長。内、約2秒は、デバイスの初期化時間)
※圧縮率、性能は、対象データ、測定環境によって変化します。
※2GPLライセンス等が適用されたものは使用できません。詳細は、問い合わせください。
※本リリースに記載されている会社名、製品名は各社の登録商標または商標です。