Ubiquitous QuickBoot 概要
Linux/Androidをわずか数秒~で瞬間起動しアプリケーション実行状態へ復元可能な新技術
新リリースR2.0登場
高速起動デモ動画
近年、機能の複雑化が進むデジタル家電や車載機器のOSに、LinuxやAndroidを使用するケースが増加しています。電源断からの起動(コールドブート)時間が数十秒から1分前後もかかる場合もあり、機器メーカーにとって改善すべき課題となっています。
特にカーナビゲーションやドライブレコーダーなどの車載機器では、エンジンを始動したら自動車が走り出してしまうため起動時間の短縮は必須です。
Ubiquitous QuickBootは、ユビキタスAIが独自開発した起動技術を使用したソフトウェア製品です。アプリケーション側で使用しているメモリ量に依存せず、電源オフの状態からわずか数秒で起動し、ユーザーが使用できる状態にします。ユーザーインターフェイスを持った機器を高速に起動して操作を開始できることがユーザー満足度を高めると評価され、カーナビゲーションをはじめとする車載機器を中心に、パネルコンピューター、セールス支援端末、デジタルカメラ、無線機器、レーダー装置、医療診断機器、電子ブック、スマートテレビなど、幅広い分野で採用が拡大しています。
QuickBootを利用すれば、ユーザーの操作性を損なわず、待機電力をほぼゼロにした状態から、システムを瞬間起動できるデジタル家電や車載機器などの製品が開発できます。
図1:ハイバネーション方式とクイックブートの動作原理の違い
QuickBoot導入の理由
1. 使い勝手を良くしたい、待つストレスを緩和するために
デジタル家電:
電源ONからすぐに目的のチャンネルへ行けない、メディアの再生までに待たされたくないなど、日常的に使うものなので不満の原因。
カーナビなどの車載情報機器:
乗車後、目的地を検索するためのナビ起動に何十秒も待たされると、毎回のことなので不満の原因に。
2. できるだけ高速に必要な機能を利用するために
ドラレコなど:
いち早く起動して、始動直後の瞬間を逃さずSDカードに映像を保存。
3. 製造工程における生産性の向上のために
製造工程における製品のソフトウェアテスト時、起動時間が長いと1台当たりの製品のテストに時間がかかり生産性に大きな影響。
4. 待機電力を抑え、バッテリーの駆動時間を延ばすために(カーボンニュートラルへの貢献)
起動時間の課題を解消するために、いわゆるスリープ状態で待機させれば起動までの時間は短縮するものの、待機電力の問題が残存。高速起動が可能であれば完全に電源をOFFにできるので、待機電力をゼロにしてバッテリーの駆動時間を延長させることが可能。 さらに、数千万台、数億台クラスの電子機器への適用で、より膨大な電力量の削減につながりカーボンニュートラル社会の実現に貢献。
製品ラインナップ
QuickBoot SDK
QuickBoot SDKは、お客様のターゲットボード環境にQuickBootを実装するためのSDK(ソフトウェア開発キット)です。
QuickBoot SDKは、特定のリファレンスボードにQuickBootを適用した場合のコードを提供します。お客様のターゲット環境にあわせてコードを修正してQuickBootを簡単に実装できるように設計されています。
QuickBoot R2.0では、次の2つのEditionから構成されています。
Pro Edition | Automotive Edition | |
---|---|---|
対象 | 起動時間を可能な限り短縮したい組込み機器開発プロジェクト | 起動要件の厳しい車載機器開発プロジェクト |
特長 | ・Standard / Advancedモードの両方に対応 ・主要なSoCに対応 ・評価ボード向けのサンプル BSP 付属 | ・Standard / Advancedモードの両方に対応 ・主要な半導体メーカー提供の車載機器開発向けプラットフォーム(開発ボード)に対応 |
適用機器例 | ・パネルコンピューター ・セールス支援端末 ・医療診断機器 ・スマートテレビ ・無線機器 など | ・カーナビ ・Display Audio ・車載IoT機器 など |
QuickBoot Android Pack(オプション)
QuickBoot Android Packは、QuickBoot SDKのオプション製品です。
最新版Android Pack 3.0では「Androidスタティックモード・プラス」をサポートしており、運用中にAndroidアプリケーションのパッケージ単位でのインストール・アップデート・削除への対応に加え、2種類の運用モードを用意し、各種設定値や状態の反映方式を機能強化しています。
2種類の運用モード
これまで、QuickBoot起動後に変更されたAndroid自体やインストールされているアプリケーションで管理しているさまざまな設定値や状態は、開発者自身がAndroid Packに同梱されているサンプルコードを参照し、変更された設定値および状態を個々に反映する処理を追加する必要がありました(Normalモード)。
今回のAndroid Pack 3.0の機能強化では、従来のNormalモードに加えて新たにSupportモードをサポートし、Android自体やAndroidアプリケーションで管理しているすべての設定値と状態を自動で反映できるようにしています。これにより、アプリケーションや用途に応じて、Androidスタティックモード・プラスの運用モードをNormalモードとSupportモードの2つから選択することができます。
運用モード メリット/デメリット
運用モード | メリット | デメリット |
---|---|---|
Normalモード | 対象とする設定値と状態の範囲を必要最小限にすることでSupportモードよりも起動時間を早くできる | 開発者が反映させる処理を実装する必要がある |
Supportモード | 反映させる処理の実装は不要 | 対象とする設定値と状態の範囲がすべてとなるためNormalモードよりも起動時間が長くなる |
Normalモードは、組込みに特化し、より速い高速起動が要求されるAndroidをプラットフォームとして利用した機器開発に最適なモードです。一方、Supportモードは、Androidタブレットのような汎用性の高いアプリケーションに最適なモードです。
対応Androidバージョン
Androidバージョン 9/10/12/13
※他のバージョンについては、順次サポート予定