ニュースプレスリリース
ユビキタスAI、IoT製品向け耐量子暗号技術をセキュリティソリューション「Ubiquitous Securus」へ統合、2027年度の製品化に向け開発を加速― 次世代暗号技術と量産実績を持つセキュリティ基盤を融合し、組込み製品へのPQC実装を支援 ―
株式会社ユビキタスAI(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 CEO:大吉 裕太、以下「ユビキタスAI」)は、サイバーセキュリティの重要技術である耐量子暗号(PQC = Post-Quantum Cryptography)について、組込みデバイス向け耐タンパセキュリティソリューション「Ubiquitous Securus」へ統合し、フィジカルAI時代に必要とされるセキュリティソリューションの提供を2027年度から開始することを発表いたします。
量子コンピュータの実用化を見据え、現在広く利用されている公開鍵暗号を、量子コンピュータによる解読にも耐え得るPQCへ移行する取り組みが世界的に進んでいます。
ユビキタスAIでは、約25年にわたり培ってきた「小さく、軽く、速い」組込みソフトウェア技術を次世代暗号にも応用し、2023年よりPQCの研究開発を進めてきました。2025年秋にはリソース制約の大きい低価格IoT製品向けのArmⓇ CortexⓇ-Mベースの32bitマイコンでの実装にめどをつけました。このたび、このPQC技術を、IVIや家電機器向けに多数の採用実績を持つ自社のセキュリティ基盤「Ubiquitous Securus」へ統合します。
これにより、PQC対応の暗号ライブラリを提供するだけでなく、暗号鍵の安全な管理・運用、暗復号処理の保護、異なるSoCへの移植性など、実際の組込み製品への導入に必要となる機能を組み合わせたセキュリティソリューションとして提供することで、お客様のPQCへの段階的な移行と実装を支援します。
Ubiquitous Securusについて
Ubiquitous Securusは、暗号鍵や証明書、ユーザーデータなどの秘匿情報を安全に管理し、暗復号処理を保護するための組込みデバイス向け耐タンパセキュリティソリューションです。
ユビキタスAIの著作権保護製品「Ubiquitous DTCP」、「Ubiquitous HDCP」との組み合わせで、IVIや家電機器向けを中心に多数の採用実績があり、2026年9月1日時点で、約840万本の出荷実績があります。
DTCPやHDCPなどの著作権保護規格では、暗号鍵の漏洩を防ぐための厳格な鍵管理が求められます。Ubiquitous Securusは、こうした要求に対応するため、ソフトウェアによる暗号ライブラリに加え、SoCが備えるハードウェアの暗復号機能の活用や、Arm TrustZone®などのセキュアなメモリ空間で暗号鍵・証明書・ユーザーデータなどの秘匿データを安全に管理・運用する「Secure Storage機能」を提供しています。
また、SoCメーカーや型番が異なるとハードウェアの暗復号機能のAPIやArm TrustZoneで動作するSecure OSが異なるため、派生機種や後継機の開発時に既存の開発資産の改修が必要となる場合があります。Ubiquitous Securusでは、こうしたSoCや実行環境の違いを吸収するWrapper層を設けています。SoCごとのAPIの違いを意識することなく、派生機種や後継機への移植に伴う開発負荷を軽減できます。
暗復号処理についても、Ubiquitous Securusが提供するソフトウェアライブラリと、SoCが備えるハードウェア暗復号機能を環境に応じて選択できる構成としています。
PQCをUbiquitous Securusへ統合するメリット
今回の統合では、PQCによる次世代の暗号アルゴリズムに、Ubiquitous Securusがこれまで量産製品への実装を通じて培ってきた暗号鍵管理やハードウェア差異の吸収といった機能を組み合わせます。
これにより、以下の特徴を備えたPQC対応セキュリティソリューションの実現を目指します。
- 暗号鍵のセキュアな管理・運用
- 暗復号プロセスの隠蔽によるハッキング防止
- 異なるSoC間でも同一APIを利用でき、ハードウェア機能の活用が容易
- 将来的にSoC側がPQCに対応した際、ソフトウェアからハードウェア処理への切り替えをスムーズに実現
- 従来暗号とPQCのハイブリッド暗号に対応し、段階的なPQC移行を支援
研究開発から製品化へ、「エッジセキュリティ3.0」の実装を加速
PQCへの移行は、暗号アルゴリズムを一度実装して完了するものではありません。特に製品寿命の長いIoT・組込み機器においては、将来の標準化動向や脅威の変化、ハードウェア環境の進化に応じて、利用する暗号方式を継続的に更新できる仕組みが不可欠です。
ユビキタスAIは、中期経営計画においてセキュリティ領域を成長領域の一つと位置付け、PQCをはじめとする次世代セキュリティ技術の研究開発と、IoT・組込み機器への実装に向けた取り組みを進めています。(※1)
2026年6月に発表した「エッジセキュリティ3.0(※2)」構想では、セキュリティを規制対応やリスク対策のための「義務」にとどめず、製品・サービスの価値や新たなビジネスモデルを支える基盤へ進化させる考え方を掲げています。
今回のUbiquitous SecurusへのPQC統合は、これまで個別に開発・展開してきた次世代暗号技術であるPQCと、量産製品への導入実績を持つデバイスセキュリティ技術を組み合わせ、「エッジセキュリティ3.0」を具体的な製品へ実装していく取り組みの一つです。
今後もユビキタスAIは、次世代の製品セキュリティとお客様の製品競争力向上に貢献してまいります。
※1) 当社のPQCへの取り組みについての詳細はこちらをご覧ください。
URL:https://www.ubiquitous-ai.com/news/2026/005587.html#appendix
※2) 「ユビキタスAI、『エッジセキュリティ3.0』構想を提唱し、組込み機器の価値創出を支える次世代セキュリティ設計を推進― セキュリティを「義務」から「価値創造」へ転換 ―」
URL:https://www.ubiquitous-ai.com/news/2026/005507.html
Ubiquitous Securus製品ページ
URL:https://www.ubiquitous-ai.com/products/securus/
株式会社ユビキタスAI(証券コード:3858)について
ユビキタスAIは、製造業のお客様を支えるテクノロジーとサービスを提供する企業です。長年にわたる組込みソフトウェアビジネスの実績をベースに、自社開発製品および世界中のソフトウェア製品の販売・サービスにおいて成功を収めています。強みである先進かつ優れたテクノロジーと強固で幅広い顧客基盤を活かしながら、製造業のお客様を支えるテクノロジー・サービスを世界に展開し続けることによって「お客様」「ビジネスパートナー」「社会」の発展に貢献します。
本社所在地:東京都新宿区西新宿1-23-7 新宿ファーストウエスト17F
URL:https://www.ubiquitous-ai.com/
投資家の皆様へ
本ニュースリリースは、ユビキタスAIの定性的な業務進捗をお知らせするためのものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。当社業績・経営指標の進捗・予想に関しては、取引所開示情報である、決算短信などをご参照ください。
本ニュースリリースに関するお問い合わせ先
株式会社ユビキタスAI マーケティング&コミュニケーション部 (担当:麻生)
TEL:03-5908-3451
Webからのお問い合わせ
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※本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。
Ubiquitous Securus - セキュラス 製品ページ
Appendix: 耐量子計算機暗号(PQC)の現状とユビキタスAIの取り組みについて
耐量子暗号(PQC)の現状
量子コンピュータの実用化を見据え、現在広く利用されているRSAや楕円曲線暗号などの公開鍵暗号を、量子コンピュータによる解読にも耐えられる暗号方式であるPQCへ移行する動きが世界的に進んでいます。
2024年、NIST(米国国立標準技術研究所)は、PQCの主要な標準として「FIPS 203(ML-KEM)」、「FIPS 204(ML-DSA)」、「FIPS 205(SLH-DSA)」を策定しました。2025年には、「ML-KEM」とは異なる数学的基盤を持つ「HQC」を追加の鍵確立方式として標準化対象に選定し、「FALCON」をベースとする「FN-DSA」についても、「FIPS 206」として標準化を進めています。
PQCは、研究や評価の段階から実装・移行の段階へと進みつつあります。一方、サーバーやパソコンと比較してCPU、メモリ、ストレージなどのリソースが限られるIoT・組込みデバイスでは、実装負荷の高いPQCへの移行がこれから本格化する段階です。また、IoT・組込みデバイスはライフサイクルが長く、出荷後に暗号方式を変更することも容易ではありません。そのため、今後の組込みデバイスでは、PQCアルゴリズムを実装するだけでなく、次のような仕組みが重要になります。
- 製品の特性やセキュリティ要件に応じて暗号方式を選択できる
- 従来暗号とPQCを組み合わせた移行期の構成に対応できる
- 将来の標準化や脅威の変化に応じて暗号方式を切り替えられる
- 暗号鍵・証明書などを安全に管理・運用できる
- 製品出荷後も証明書を製品ライフサイクルに合わせて管理できる
NISTもPQC移行において、既存の暗号利用状況を把握する暗号資産の可視化やリスク管理、PQCを組み込んだ製品・サービスの相互運用性や性能評価などを重要なテーマとして位置づけています。
ユビキタスAIのPQCへの取り組み
ユビキタスAIは、2023年よりPQCの研究開発に取り組み、NISTの標準化動向を踏まえたアルゴリズムの仕様理解、自社実装、リファレンス実装との比較検証を進めてきました。
2025年11月、低価格帯のArm® Cortex®-Mベースの32bitマイコンにおいて、NISTが標準化した「FIPS 203」、「FIPS 204」、「FIPS 205」の実装・検証を完了しました。また、標準化作業中であった「FALCON」および「HQC」についても、当時の仕様に基づく実装を進めています。
2026年6月には「エッジセキュリティ3.0」構想を発表し、PQCライブラリ単体の提供ではなく、組込みデバイス向け耐タンパセキュリティソリューション「Ubiquitous Securus」への統合や、TLS暗号通信ライブラリへの適用を進め、リソース制約の大きい組込みデバイスにも実装可能な次世代セキュリティ技術として位置づけています。
今回、これまでの研究開発成果を基盤として、PQCを単独の暗号アルゴリズムとして提供するのではなく、暗号通信、デバイス保護、鍵管理、さらには製品ライフサイクル管理までを含むセキュリティ基盤へと発展させます。
1.各種暗号アルゴリズムへの対応
ユビキタスAIでは、組込みデバイスの用途やリソース、セキュリティ要件、製品ライフサイクルなどを考慮し、特定の暗号アルゴリズムに固定されない柔軟な暗号基盤の構築を図ります。
| 分類 | アルゴリズム | 対応方針 |
|---|---|---|
| PQC/鍵確立 | ML-KEM (FIPS 203) | 主要対応方式として組込みデバイスへの実装、製品化を推進。 |
| HQC | バックアップ方式として標準化動向を継続的に追跡し、製品への対応を検討。 | |
| PQC/電子署名 | ML-DSA (FIPS 204) | 主要署名方式として対応を推進。 |
| SLH-DSA (FIPS 205) | 異なる数学的基盤を持つバックアップ方式として対応。 | |
| FN-DSA (FALCON) | 標準化動向を踏まえ、リソース制約のある組込みデバイスを含めて対応を検討。 | |
| 従来暗号/共通鍵 | AES、DESなど | PQC移行後も AES-256など十分な鍵長を持つ暗号は重要な基盤技術として継続利用。必要に応じてより長い鍵長への対応も可能。 |
| 従来暗号/公開鍵 | RSA、ECCなど | PQCへの移行期間を考慮し、PQCと併用。段階的な移行を支援。 |
ユビキタスAIは、特定の暗号アルゴリズムへの固定的な依存を避け、製品のセキュリティ要件、性能、メモリ容量、通信方式、製品ライフサイクルなどに応じて、適切な暗号方式を選択・変更できる環境の提供を目指します。
2.組込みデバイス向け耐タンパセキュリティソリューション「Ubiquitous Securus」へ統合
PQC対応の暗号ライブラリを提供するだけでなく、「Ubiquitous Securus」に統合することで実際の組込み製品への導入に必要となる機能を組み合わせたセキュリティソリューションとして提供することが可能となります。
これにより、以下の特徴を備えたPQC対応セキュリティソリューションの実現に取り組みます。
- 暗号鍵のセキュアな管理・運用(Secure Storage機能)
- 暗復号プロセスの隠蔽によるハッキング防止
- 異なるSoC間でも同一APIを利用でき、ハードウェア機能(暗復号やメモリ保護)の活用が容易
- 将来的にSoC側がPQCに対応した際、ソフトウェア処理からハードウェア処理への切り替えをスムーズに実現
- 従来暗号とPQCのハイブリッド暗号に対応し、段階的なPQC移行を支援
PQCへの移行は、暗号アルゴリズムを一度実装して完了するものではありません。特に製品寿命の長いIoT・組込みデバイスにおいては、将来の標準化動向や脅威の変化、ハードウェア環境の進化に応じて、利用する暗号方式を継続的に更新できる仕組みが不可欠です。
ユビキタスAIは、中期経営計画においてセキュリティ領域を成長領域の一つと位置付け、PQCをはじめとする次世代セキュリティ技術の研究開発と、IoT・組込みデバイスへの実装に向けた取り組みを進めています。
